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夜空に光るはメトシェラの星

施川さんの描く命と言うものは、不思議と明るくて、明るければ明るいほど、悲愴だな、と思う。
とても…とてもよかった。登場人物も限られていて、話は至って単純。死なない二人の子ども。その母親。そして、そんな不死者たちの前に現れる人間の赤ん坊。
このシチュエーションを聞かされれば、みんなが「未来」を思い浮かべて切ない気持ちになるだろう。その通りに物語りは進む。けれど、意外性なんてなくても、その王道から産まれる王道の物語が、どうしてこんなにも心に響くんだろう。多分、この物語はとても「言葉」が強いのだ。台詞が多いわけではない。美しい言い回しがあるわけではない。けれど、「あなたを愛している」「生きたい」「ドキドキする」「死にたくない」「憎い」そんな簡単な台詞が、ビックリするぐらい心に迫ってくるのだ。(めちゃめちゃ個人的な印象ですけど、平易な言葉でもめちゃめちゃ心にくる歌を作る小田和正みたいな感じ。自分の歌声も曲もわかった上で、シンプルな歌詞でぶん殴ってくるじゃん…)
王道といいつつ、最後の最後まで、彼らの決断がどうなるのかはわからなかった。とても素敵で優しくて、同時に切ないラストだと思う。とても好きな物語でした。

2巻で終わるの残念すぎたし、読むのなら2巻まとめて読んで欲しい。

アダムとイブの楽園追放されたけど…(2) (モーニング KC)

宮崎 夏次系/講談社


なぜかって言うと、個人的に1巻読んだときはそんなに…って感じだったのに、2巻読んだらその辺ふっとんで好き!!!!!!ってなったからです。正直すまんかった。
話はいたって単純。楽園を追放されたアダムとイブが、下界で子育てに奮闘するファミリーもの(嘘じゃない)
言うても宮崎さんの作品なので、神様も蛇も天使もアダムもイブもカインもアベルも「何だお前は…」という性格とぶっとんだ行動に出るんですけど、意外と真っ当な家族ものなんですよね。特にイブの子育てへのままならさや、子どもへもある種の違和感が割と丁寧に描写されている。神様はロクでもないし、家族は凸凹だけど、それなりに楽しく生きていけるんじゃない?なんて2巻辺りまで来るとみんなのイカれたキャラがクセになってニコニコしてたんですけど、まさかラストで原作(聖書)に忠実なしんどい展開してくると思わないジャン…????
というわけで想像以上に切ないラストが本当に好きで…是非…軽い気持ちで読んで…この終わりに一緒にはわはわして欲しい…

漆原先生の新作だ!!!!

猫が西向きゃ(1) (アフタヌーンKC)

漆原 友紀/講談社

こういう言い方は良くないのかもしれないですけど、現代版蟲師のようなお話。となれば、もう漆原先生の独壇場です。不思議な出来事と、それに纏わる人の心を描かせたら、やっぱり最高に面白いんですよ…
「フロー」というのが、今回の不思議な現象の「名前」。空間の浮動化。全ての物質は常に揺らいでいるため、時折人間の精神に感応して姿形を変え、不思議としかいいようのない現象を引き起こしてしまう。季節はずれの桜、もう一つの街、角が消えた商店街、鏡の向こうの世界…そんな「フロー」に対処する便利屋のような「フロー業者」が今回の主役。表紙の二人と猫一匹。基本的に穏やかに話は進んでいくのですが、フローの巻き起こす事態は意外に深刻なものも多く、ふと怖くなる瞬間もあります。(表紙にいる彼女の抱える事情も、よく考えたら深刻)それが堪らなく魅力的でもあるんですよね。蟲師と同様、人智の及ばないことをどうにかしようという思いは彼らにはなくて、なるようになりながらも、なんとか人を助けようとしてるあたり、漆原先生のこういう不可思議へのスタンスはやはり素敵だな、と思うのです。

今回はマンガ感想のみですまない…でも月1更新を脱することが出来てほっとしている…最近はいだてんとかプロメアとかさらざんまいにキャーキャー言ってました。久々にマンガ以外の感想更新もしてみようかな!

by haruyi | 2019-06-28 07:26 | 書物

独り言のようなそうでないような


by haruyi